初めてのCisco IOSルータの初期セットアップ -Telnetが出来るまで-CCNA
今回は、初めてCiscoのIOSルータを設定する人のために初期セットアップからTelnetが出来るまでを書いていきます。
ネットワークのスキルを上げるためには、実機を触るってことはすごく大切です。自分で考えながらやるので理解するのが早いですし、本を読んでわからなかったことも「なるほど」と理解できたりします。自分の中でイメージが出来上がります。
ただ、いきなり実機を触るというのは、すごくハードルが高いことです。何を用意したらいいのかも大変です。最初はコンソールケーブルを用意してルータを設定する必要があるのですが、どんなケーブルを用意したらいいかもわからない。
ですので、「ネットワークの勉強を始めて実機で理解しようとしている方」、「CCNA ICND1,2を受験するために実機で勉強中の方」のために、何を揃えたらいいのかということから、実機の初期セットアップ、Telnet接続まで出来るように書いていきます。
今回利用するCiscoのルータは、安価でもっとも小さいルータのCisco892Jで設定していきます。
Contents
- 1 はじめに
- 2 ・今回の検証に必要なもの
- 3 【手順1】 コンソール接続する※電源ONする前に
- 4 【手順2】ターミナルソフトを用意する
- 5 【手順3】ルータの電源を入れる
- 6 【手順4】ルータに設定する
- 7 おわりに
はじめに
今回は、CiscoルータにIPアドレスの設定をしてリモートのパソコンからTelnet接続するようにしていきます。
・今回の検証に必要なもの
CiscoルータにTelnetで接続するテストをするためには、以下2つです。
①初期セットアップで必要なもの
②Telnet接続で必要なもの
①初期セットアップに必要なもの
Cisco892Jの初期セットアップには、パソコンとルータをコンソール接続する必要があります。コンソール接続は、ルータに何も設定がなくても、ソフトウェアを使って設定することができます。具体的には以下のものが必要になります。
- パソコンは、WindowsでもMacのどちらでもOK
- USBシリアル変換ケーブル(USB<->DB-9)
- ロールオーバケーブル(DB-9<->RJ45)
【イメージ図】
USBシリアル変換ケーブル
下の画像の右側がDB9、左側がUSBです。DB-9とは、ピンが9個あるものです。Dサブ9ピンという時もあります。
パソコンのUSBポートとロールオーバケーブルのDB-9と接続に利用します。
どれを購入したらいいの?
私のオススメは、以下の製品です。Amazonで買いました。値段は安いし、WindowsもMacも対応しています。私のパソコンで問題なく動作しています。Windows8.1、Macは、Sierraです。
USB-シリアル変換ケーブル
ロールオーバーケーブル
RJ45とDB-9のケーブルです。下の画像の左がRJ45コネクタ、右がDB-9です。
このケーブルをルータ(RJ45)とUSBシリアル変換ケーブル(DB-9)を接続に利用します。RJ45は、LANケーブルで利用されているので見たことがある方は多いでしょう。
どれを購入したらいいの?
安い製品でいいと思います。私は、Amazonで下記を選びました。
ロールオーバーケーブル
もし、ロールオーバーケーブルの配線方法を知りたい方は、こちらの記事が参考になります。
ネットワークの基礎を覚える ③ツイストペアケーブルをマスターする
②Telnet接続で必要なもの
パソコンを使ってCisco892JにTelnet接続をするためには、パソコン以外に以下のものが必要になります。
- 【パソコンにLANポートがない場合】USB-LAN変換ケーブル(USB<->LAN)
- UTPケーブル(RJ45<->RJ45)
どれを購入したらいいの?
こちらも安い製品でいいと思います。もし既にお持ちであれば、それを利用すればいいと思います。
USB-LAN変換ケーブル
UTPケーブルは、カテゴリー5以上だったら、なんでも大丈夫です。カテゴリーは、1〜7まであります。数字が上がるごとに品質が上がっていきます。下のケーブルは、6aです。10GbaseTX 10Gbpsまで対応したものです。今回の環境では問題なく利用できます。
UTPケーブル
【手順1】 コンソール接続する※電源ONする前に
下の図の通りにケーブルを接続します。
電源ONする前にコンソール接続する理由は、ルータが起動した時に表示されるログをターミナルソフトから見るためです。
【Cisco892J Consoleポートの画像】
これをより詳細にコンソール接続の詳細を知りたい場合は、下記の記事を参照してください。参考になると思います。
ルータへの接続方法をまとめてみる(Cisco IOS操作の基礎)
【手順2】ターミナルソフトを用意する
ターミナルソフトからコンソール接続する(Windows)
Windowsの場合は、Tera Termでコンソール接続ができます。こちらからダウンロードできます。
Tera Termを立ち上げると下記の画像が出てきます。シリアル接続をするので、シリアルにチェックを入れて、OKボタンを押します。
真っ黒な画面で[Enter]キーを押しても何も反応がないと思います。まだルータので電源がONになっていないからです。
※シリアルのところに何も表示されていない場合。①か②をご確認ください。
①USBポートにUSBシリアル変換ケーブルが接続されていない ②パソコンがUSB-シリアルケーブルを認識していません。デバイスドライバーのインストールが必要になります。デバイスドライバーは、お使いのUSBシリアル変換ケーブルにCD-ROMで付属しているか、メーカーのWebサイトにあったりします。 |
ターミナルソフトからコンソール接続する(Mac)
Macの場合は、標準のターミナルでもできますが、私はiTerm2を使っています。使い勝手がいいからです。
USB-シリアル変換ケーブルのデバイスドライバーをインストールして、下記のコマンドを実行します。まだルータの電源がONになっていないので、何も表示されません。
screen /dev/tty.usbserial |
※このコマンドが実行できない場合、①か②をご確認ください。①USBシリアル変換ケーブルをパソコンに接続していない。
②デバイスドライバーがインストールされていない。デバイスドライバーをインストールしてください。デバイスドライバーは、お使いのUSBシリアル変換ケーブルにCD-ROMで付属しているか、メーカーのWebサイトにあったりします。 ③デバイスドライバーのファイルが違うかもしれません。 ls /dev/tty.* でusbserialに似た名前がないか探してみてください。もしあったら、その名前で実行してください。 |
【手順3】ルータの電源を入れる
ルータの電源をONにします。
そうすると、ターミナルソフトからルータが起動してきたログが表示されてきます。これは、POST (Power-On Self Test)といいます。電源投入時にルータが機器にエラーはないか確認しているのです。
System Bootstrap, Version 12.4(22r)YB5, RELEASE SOFTWARE (fc1) Technical Support: http://www.cisco.com/techsupport Copyright (c) 2009 by cisco Systems, Inc.C890 platform with 786432 Kbytes of main memoryUpgrade ROMMON initialized |
そうすると、Would you like to enter the initial configuration dialog?[yes/no]:が表示されます。初期セットアップを対話形式でしますか?というメッセージです。今回は、「No」とします。コマンドで設定をしていくためです。
— System Configuration Dialog —
Would you like to enter the initial configuration dialog? [yes/no]: no ← 今回は No とする |
そうすると、「Router > 」と表示されます。その前にいろんなログが表示されますが、気にしないで大丈夫です。これはまだルータのポートに何もつながっていないので、”ポートが落ちました”というメッセージです。
—*Sep 27 20:44:36.987: %LINEPROTO-5-UPDOWN: Line protocol on Interface FastEthernet6, changed state to down *Sep 27 20:44:36.987: %LINEPROTO-5-UPDOWN: Line protocol on Interface FastEthernet7, changed state to down Router> |
【手順4】ルータに設定する
これからいよいよルータに設定をしていきます。
まず、設定に入る前に理解を深めるためにモードの説明をします。Ciscoルータにはいろんなモードがあります。一部のコマンドしか許可しないモード、全部許可したモード、設定変更したモードなどあります。
今どのモードなのかは、ホスト名の右に表示されている文字でわかります。
- > ユーザEXECモード。一部のコマンドだけ許可
- # 特権EXECモード。全部許可
- (config***) コンフィグレーションモード。設定するときにモード。*** としたのは、様々なコンフィグレーションモードがあるため。
現在は、「Router > 」なので、ユーザEXECモードです。一部のコマンドしか実行できません。
【手順4-1】enableをして特権EXECモードに入る
「enable」と入力してEnterキーを押します。そうすると、”Router”の右に表示されている文字が > から #に変更されます。#が特権EXECモードです。コマンドを全部許可されたモードです。
Router> Router>enable Router# |
【手順4-2】ホスト名を設定する
ホスト名は、装置の名前です。現在のホスト名は、「Router」になっています。これを好きな名前に変えてみます。
現在のホスト名の設定を確認する
設定をする前に、今のどのような設定になっているか確認する必要があります。「show running-config」コマンドで、現在の設定内容を確認できます。running-configは、動作中のコンフィグレーションです。
–More–が表示されたら、[space]キーを押し続けて全部表示させます。
ホスト名の設定する行は、hostname Router のところです。現在は、Routerと設定されています。
Router#show running-config ←コマンド Building configuration…Current configuration : 1396 bytes ! version 15.4 service timestamps debug datetime msec service timestamps log datetime msec no service password-encryption ! hostname Router ←ホスト名の設定 |
ホスト名を設定する
「configure terminal」 と入力してコンフィグレーションモードに入ります。コンフィグレーションモードは、設定変更するモードです。ホスト名の右の文字が (config) となります。文字入力の途中で[tab]キーを押すとコマンドを補完してくれるので便利です。
Router#configure terminal Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z. Router(config)# |
「hostname <ホスト名>」を入力してホスト名を変更します。お好きなホスト名にしてください。
下の例では、ホスト名をrunsurunet01に変更しています。変更をしたら、すぐに名前が変更されます。
Router(config)#hostname runsurunet01 runsurunet01(config)# ↑ホスト名がすぐに変わる |
※間違ってしまった場合
頭にnoを入れて消すことができます。
runsurunet01(config)#no hostname |
「end」と入力して特権EXECモードに戻ります。なお、「exit」でも戻ります。この2つのコマンドの違いを覚えておくと便利です。
- end 特権EXECモードに戻る
- exit 一つ前の階層に戻る。コンフィグレーションモードでexitをすると、一つ前の特権EXECモードに戻る。
runsurunet01(config)#end runsurunet01# |
変更したホスト名の設定を確認する
設定変更した後は、ちゃんとrunning-configが変更されたか確認することが大切です。
「show running-config」コマンドで、設定内容を確認します。
ホスト名の設定する行は、hostname runsurunet01 のところです。設定が変わっていることがわかります。
runsurunet01#show running-config ←コマンド Building configuration…Current configuration : 1396 bytes ! version 15.4 service timestamps debug datetime msec service timestamps log datetime msec no service password-encryption ! hostname Router ←ホスト名の設定 |
【手順4-3】インタフェースにIPアドレスを設定する。
パソコンからルータにIPの通信をするために、ルータのインタフェースにIPアドレスを設定します。今回ルータに設定するインタフェースはGigabitEthernet0、IPアドレス:192.168.0.2 サブネットマスク:255.255.255.0に設定をします。
インタフェースのリンク状態を確認する
GigabitEthernet0のリンク状態を確認します。リンク状態の確認とは、そのインタフェースが利用できるのか、ケーブルが接続されているのかということです。コマンドは、「show ip interface brief」です。
画面を見ると Status:administratively down、Protocol:downになっています。これは利用できない状態なので設定が必要です。
インタフェースの状態には、主に以下の種類があります。左がStatus/右がProtocolの欄の表示です。
- administratively down/down : インタフェースが閉じている。shutdownが設定されている
- down/down : インタフェースは空いているが、Linkが上がっていない。お互いの装置にケーブルが接続されていない
- up/up :インタフェースは空いていて、ケーブルが接続されている。利用できる状態。
インタフェースの設定を確認する
GigabitEthernet0のインタフェースの設定を確認するには、「show running-config interface gigabitethernet0」をします。
runsurunet01#show running-config interface gigabitEthernet0 Building configuration…Current configuration : 84 bytes ! interface GigabitEthernet0 no ip address ← IPアドレスが設定されていない shutdown ←ポートが閉じている。利用できない状態 duplex auto ←duplexが自動 speed auto ←速度が自動 end ← GigabitEthernet0の設定はここまでということ。 |
duplex autoとspeed autoは、オートネゴシエーションになる設定です。
オートネゴシエーションは、自動で速度を決める設定です。ケーブルがつながる両方の装置でオートネゴシエーションにしていれば、勝手にお互いの速度を決めてくれてリンクがupします。パソコン側は、オートネゴシエーションになってますので、ルータ側もオートネゴシエーションにしておきます。詳しい記事は、普段意識しないけど使っているオートネゴシエーション
また、「show running-config」でも設定を確認できますが、ルータ全体の設定が表示されてしまうため、探す時間がかかります。show running-config interface で絞れば、gigabitethernet0の設定だけ表示されるので便利です。
インタフェースを設定する
「configure terminal」 と入力してコンフィグレーションモードに入ります。
その次に「interace gigabitethenet0」と入力します。 表示名が(config-if)となります。これをインタフェースコンフィグレーションモードといいます。
runsurunet01#configure terminal Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z. runsurunet01(config)#interface gigabitethernet0 runsurunet01(config-if)# |
続いてIPアドレスの設定とshutdownを消します。設定を消すときは、頭にnoを入れます。
runsurunet01(config-if)#ip address 192.168.0.2 255.255.255.0 ←IPアドレスの設定 runsurunet01(config-if)#no shutdown ← 頭にno を入れて shutdownを消す runsurunet01(config-if)# runsurunet01(config-if)#end ←特権EXECモード runsurunet01#↓設定変更したのでログが表示される。 *Sep 28 21:24:51.815: %LINK-5-CHANGED: Interface GigabitEthernet0, changed state to reset *Sep 28 21:24:53.019: %SYS-5-CONFIG_I: Configured from console by console *Sep 28 21:24:58.227: %LINK-3-UPDOWN: Interface GigabitEthernet0, changed state to down |
※間違ってしまった場合
頭にnoを入れて消すことができます。no shutdownは、shutdownにする。
runsurunet01(config-if)#ip address runsurunet01(config-if)#shutdown runsurunet01(config-if)# runsurunet01(config-if)#end ←特権EXECモード runsurunet01# |
変更後のインタフェースの状態を確認する
GigabitEthernet0の状態を確認します。コマンドは、「show ip interface brief」です。
画面を見ると down downになっています。no shutdownをしたのでadministratively downからdown downに変わりました。しかし、LANケーブルを接続していないため、upにはなりません。ケーブルはこの後接続します。IPアドレスも設定した内容が表示されます。
変更後のインタフェースの設定を確認する
GigabitEthernet0のインタフェースの設定を確認するには、「show running-config interface gigabitethernet0」をします。
先ほど設定した内容が表示されていることを確認します。
runsurunet01#show running-config interface gigabitethernet0Building configuration…
Current configuration : 97 bytes |
【手順4-4】LANケーブルを接続する
パソコンのLANポートとルータのGigabitEthernet0ポートにケーブルを接続します。
【GigabitEthernet0のポート】※WAN GE0となっている。
インタフェースの状態を確認する
GigabitEthernet0の状態を確認します。コマンドは、「show ip interface brief」です。
うまくいけば up upとなります。LinkUp状態です。
down downの場合は、ケーブルが壊れているか、パソコンのLANポートが壊れている可能性が高いです。もし、変わりのケーブルがあるのでしたら試してみてください。
【手順4-5】※パソコン側のIPアドレスを設定する
パソコン側のLANポートにIPアドレス 192.168.0.1 255.255.255.0を設定します。
Windowsの場合
コントロールパネル > ネットワークとインターネット > ネットワークの状態とタスクの表示をクリック
左にある「アダプターの設定の変更」をクリックします。
下記画像のように①識別されていないネットワークを選択して右クリックをして、②プロパティをクリックします。
インターネットプロトコルバージョン4 (TCP/IPv4)を選択してプロパティをクリックします。
IPアドレス 192.168.0.1 サブネットマスク 255.255.255.0に設定してOKをクリックします。
Macの場合
システム環境設定 > ネットワークの順番に開きます。
①自己割り当てIP となっているLANポートのアダプタを選択
②IPv4の設定を手入力に変更してIPアドレス 192.168.0.1 サブネットマスク 255.255.255.0
右下の適用を押します。
【手順4-6】pingで疎通試験をする
ルータからパソコンにpingをしてみます。pingは、IPの通信がうまくいくか試験するときに利用します。パソコンのIPアドレスは192.168.0.1です。ルータから「ping 192.168.0.1」とすれば、パソコン↔︎ルータの通信を確認できます。
!!!!! となれば成功です。
ここの表示が …. となっていると、pingが失敗です。IPアドレス、サブネットマスクの設定が間違っている、インタフェースがupしていないなど間違いがありますので、もう1度内容を確認する必要があります。
【手順4-7】Telnetの設定する
telnetの設定をしていきます。telnetをするためには、ルータに仮想ポート(VTY)を作成する必要があります。VTYとは、ルータの中にある論理ポートのことです。目に見えるLANポート(gigabitethernet0など)ではなく設定で作られたポートです。
今回は、VTYポートを0〜4で設定します。5個 ポートを作るということです。5個telnetが出来るようにするわけです。
Telnetの設定を確認する
telnetの設定を確認するには、「show running-config」をします。telnetの設定は、下の方です。[space]キーを押して進めてください。line vty 0 4 のところがtelnetの設定です。追加で設定が必要です。
line vty 0 4 login ←パスワードの設定をしないとtelnetできないという設定 transport input none ←接続を拒否 ! |
Telnetを設定する
「configure terminal」 と入力してコンフィグレーションモードに入ります。
その次に「line vty 0 4」と入力します。0 4という数字は、0番から4番のポートを作りますということです。
表示名が(config-line)となります。これをラインコンフィグレーションモードといいます。
runsurunet01#configure terminal Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z. runsurunet01(config)#line vty 0 4 runsurunet01(config-line)# |
続いてコンフィグを入れます。
runsurunet01(config-line)#password cisco ←telnetでログインするパスワードを「cisco」に設定 runsurunet01(config-line)#transport input telnet ←telnetを許可 runsurunet01(config-line)#end runsurunet01# |
※間違ってしまった場合
頭にnoを入れて消すことができます。transport inputを消すときは、no transport input です。
runsurunet01(config-line)#no password runsurunet01(config-line)#no transport input runsurunet01(config-line)#end runsurunet01# |
変更後のTelnetの設定を確認する
「show running-config 」で設定を確認します。先ほど設定した内容が表示されていることを確認します。
line vty 0 4 password cisco login transport input telnet ! |
【手順4-8】Telnet接続を試してみる
これでTelnet接続できるようになりました。さっそくパソコンから試してみましょう。
Windowsの場合
Teratermを開き、ホスト:192.168.0.2(ルータのIPアドレス)、サービスをTelnetを選択してOKをクリックします。最初は、ssh担っているのでご注意を。
Macの場合
itermを開き、「telnet 192.168.0.2」(ルータのIPアドレス)と入力して[Enter]キーを押します。
Telnetの実行
Telnet接続に成功すると、下記の通りpasswordを聞かれるようになります。passwordは、「cisco」です。telnet接続のところで設定したものです。password cisco ですね。
as:~ as$ telnet 192.168.0.2Trying 192.168.0.2… Connected to 192.168.0.2. Escape character is ‘^]’. User Access VerificationPassword:←passwordを入力する |
パスワード入力した後、ユーザEXECモードになります。これでは一部のコマンドしか入れられないため、「enable」をして特権EXECモードに入ります。
runsurunet01> runsurunet01>enable |
しかし、% No password Set が表示されて先に進めないと思います。「password設定したじゃないか!」という声が聞こえてくるのがよくわかります。
runsurunet01>ena % No password set |
先ほど設定したパスワードは、line vty 0 4のパスワード、つまりTelnet用のパスワードです。
特権EXECモードに入る時のパスワードは別です。これには、イネーブルパスワードを設定する必要があります。
【手順4-9】イネーブルパスワードを設定する
イネーブルパスワードを設定する
「configure terminal」 と入力してコンフィグレーションモードに入ります。続いてイネーブルパスワードを設定します。
enable password <パスワード>
runsurunet01#configure terminal Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z. runsurunet01(config)#enable password ccna ←イネーブルパスワードを「ccna」に設定 runsurunet01(config)#end |
※間違ってしまった場合
頭にnoを入れて消すことができます。
runsurunet01(config-line)#no enable password |
変更後のイネーブルパスワードの設定を確認する
「show running-config 」で設定を確認します。先ほど設定した内容が表示されていることを確認します。
runsurunet01#show running-configBuilding configuration…
Current configuration : 1516 bytes ! |
【手順4-10】再びTelnet接続をする
今度は、telnet接続をしてルータにログインした後、enableと入力するとパスワードが聞かれます。先ほど設定したパスワード「ccna」を入力します。
そうすると、ホスト名の右が#となって特権EXECモードになります。これで成功です。
as:~ as$ telnet 192.168.0.2Trying 192.168.0.2… Connected to 192.168.0.2. Escape character is ‘^]’. User Access VerificationPassword: ←telnet 接続のpassword 「cisco」 runsurunet01> runsurunet01>ena Password:←イネーブルパスワードの「ccna」 runsurunet01# |
【手順4-11】設定の保存
最後に設定の保存をします。
少しだけCiscoのコンフィグレーションファイルの話をします。結構重要です。
Cisco IOSには、設定した内容を管理するコンフィグレーションファイル(設定ファイル)があります。コンフィグレーションファイルは、running-configとstartup-configと2つあります。
設定しているときは、running-configに書き込んでいます。runningなので動作中のコンフィグということです。このrunning-configは、再起動や電源がOFFになると消えてしまいます。
startup-configは、再起動や電源がONしたときに読み込まれるコンフィグです。startupですからまさに最初って感じですよね。
ですので、そうならないためにも設定の保存をします。running-configの内容をstartup-configにコピーします。
ドラゴンクエストやゲームをやったことがある方ならイメージしやすいでしょう。設定の保存は、ゲームのセーブと同じです。セーブしないとせっかく進めたゲームもやり直しになりますからね。
コマンドは、「copy running-config startup-config」です。OKが出れば完了です。
runsurunet01#copy running-config startup-config Destination filename [startup-config]?←[Enter]キーを押す Building configuration… [OK] runsurunet01# |
おわりに
お疲れさまでした。ここまでやるのは結構大変だと思います。何も設定されていない実機を触ったことによって、スキルはすごく上がったと思います。Telnet接続が出来るようになったら、リモートからも設定することができます。色々試してスキルアップを目指しましょう。
当サイトにCisco IOS操作の記事をいくつか書いております。スキルアップには役立つのでぜひご覧ください。
- Cisco ルータ・スイッチの初期化の方法(Cisco IOS操作の基礎)
- running-configとstartup-configの役割を確実に覚える方法(Cisco IOS操作の基礎)
- IOSの便利なコマンド【初歩の方は一読してスキルアップ】(Cisco IOS操作の基礎)
- プロンプトに表示されるモードの意味を知る【> #】(Cisco IOS操作の基礎)
- ルータへの接続方法をまとめてみる(Cisco IOS操作の基礎)
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