1台の小型ルータ Cisco892Jで実機演習 VlanからOSPFまで(3)初期設定 コンフィグ入れてケーブル繋ぐまで
CCNAで出るようなVlanやOSPFなどの機能を1台の小型ルータ Cisco892Jで触ってみようのPart3となります。
Part3は、ルータへの設定(コンフィグ)投入となります。1つ1つ説明していきます。
Contents
ルータに設定を入れる
①パソコン(PC)とルータをコンソールケーブルを使って接続する
コンソールケーブルは前回の記事をご覧ください。まだお持ちでない場合は購入するのに参考になると思います。
接続のイメージは、下記の通りです。USBシリアル変換ケーブルとロールオーバケーブルを使ってパソコンとルータを接続します。
【イメージ図】
①-1USBシリアル変換ケーブル
USBポートをパソコンのUSBポートに繋ぎます。DB-9のオスは、次に説明するロールオーバケーブルと繋ぎます。
①-2 ロールオーバーケーブル
DB-9のメスは、↑のUSB変換ケーブルと接続します。RJ45(画像の右)は、ルータと接続します。
ルータのコンソールポートは↓の赤い四角です。
②ターミナルを準備する
続いて、ターミナルソフトを準備します。ルータを操作するためです。WindowsとMacで接続の方法が異なるのでご使用の環境に合わせてご覧ください。
ターミナルソフトからコンソール接続する(Windows)
Windowsの場合は、Tera Termでコンソール接続ができます。こちらからダウンロードできます。
Tera Termを立ち上げると下記の画像が出てきます。シリアル接続をするので、シリアルにチェックを入れて、OKボタンを押します。
真っ黒な画面で[Enter]キーを押しても何も反応がないと思います。まだルータので電源がONになっていないからです。
※シリアルのところに何も表示されていない場合、下記の①か②をご確認ください。
①USBポートにUSBシリアル変換ケーブルが接続されていない ②パソコンがUSB-シリアルケーブルを認識していません。デバイスドライバーのインストールが必要になります。デバイスドライバーは、お使いのUSBシリアル変換ケーブルにCD-ROMで付属しているか、メーカーのWebサイトにあったりします。 |
ターミナルソフトからコンソール接続する(Mac)
Macの場合は、標準のターミナルでもできますが、私はiTerm2を使っています。使い勝手がいいからです。もちろん標準のターミナルでも大丈夫です。
USB-シリアル変換ケーブルのデバイスドライバーをインストールして、下記のコマンドを実行します。まだルータの電源がONになっていないので、何も表示されません。
screen /dev/tty.usbserial |
※このコマンドが実行できない場合、下記の①か②をご確認ください。
①USBシリアル変換ケーブルをパソコンに接続していない。 ②デバイスドライバーがインストールされていない。デバイスドライバーをインストールしてください。デバイスドライバーは、お使いのUSBシリアル変換ケーブルにCD-ROMで付属しているか、メーカーのWebサイトにあったりします。 ③デバイスドライバーのファイルが違うかもしれません。 ls /dev/tty.* でusbserialに似た名前がないか探してみてください。もしあったら、その名前で実行してください。 |
③ルータの電源を入れる
ルータの電源をONにします。
そうすると、ターミナルソフトからルータが起動してきたログが表示されてきます。これは、POST (Power-On Self Test)といいます。電源投入時にルータが機器にエラーはないか確認しているのです。
System Bootstrap, Version 12.4(22r)YB5, RELEASE SOFTWARE (fc1) Technical Support: http://www.cisco.com/techsupport Copyright (c) 2009 by cisco Systems, Inc.C890 platform with 786432 Kbytes of main memoryUpgrade ROMMON initialized |
そうすると、Would you like to enter the initial configuration dialog?[yes/no]:が表示されます。
初期セットアップを対話形式でしますか?というメッセージです。今回は、「No」とします。コマンドで設定をしていくためです。
— System Configuration Dialog —
Would you like to enter the initial configuration dialog? [yes/no]: no ← 今回は No とする |
そうすると、「Router > 」と表示されます。その前にいろんなログが表示されますが、気にしないで大丈夫です。これはまだルータのポートに何もつながっていないので、”ポートが落ちました”というメッセージです。
—*Sep 27 20:44:36.987: %LINEPROTO-5-UPDOWN: Line protocol on Interface FastEthernet6, changed state to down *Sep 27 20:44:36.987: %LINEPROTO-5-UPDOWN: Line protocol on Interface FastEthernet7, changed state to down Router> |
④ルータに設定(コンフィグ)をコピーする
これからいよいよルータに設定をしていきます。今回はUSBキーを使ったコピーをしていきます。USBキーがない場合は、一つ一つ設定を投入していくことになります。
④-1 コンフィグの準備
コンフィグを↓からダウンロードしてパソコンに保存します。このコンフィグをルータにUSBでコピーして設定することになります。
http://www.runsurunet.com/wp-content/uploads/2021/04/runsuru01.txt
④-2 USBキーメモリにコンフィグをコピーする
USBキーメモリをパソコンに接続して、ダウンロードしたコンフィグファイルをUSBキーメモリに保存します。
USBキーメモリがない場合は、ここは読み飛ばしてください。
④-3 USBキーメモリーをルータに接続する
Cisco892では、ポートがたくさんある面とは反対にUSBポートがあります。
ここにUSBキーメモリを接続します。
④-4 【ルータを操作】 enableをして特権EXECモードに入る
まず、設定に入る前に理解を深めるためにモードの説明をします。Ciscoルータにはいろんなモードがあります。一部のコマンドしか許可しないモード、全部許可したモード、設定変更したモードなどあります。
今どのモードなのかは、ホスト名の右に表示されている文字でわかります。
- > ユーザEXECモード。一部のコマンドだけ許可
- # 特権EXECモード。全部許可
- (config***) コンフィグレーションモード。設定するときにモード。*** としたのは、様々なコンフィグレーションモードがあるため。
現在は、「Router > 」なので、ユーザEXECモードです。一部のコマンドしか実行できません。
「enable」と入力してEnterキーを押します。そうすると、”Router”の右に表示されている文字が > から #に変更されます。#が特権EXECモードです。コマンドを全部許可されたモードです。
④-5 【ルータを操作】 コンフィグをコピーする
最初にUSBキーメモリーが認識しているか確認をします。
dir usまで入力したら Tabキーを押せば補完してくれます。今回の例では dir usbflash1: で認識されていることがわかりました。
Enterを押すと、USBキーメモリーのファイル一覧が表示されます。runsuru01.txtがあればOKです。
runsuru-01#dir us ⇦tabキーを押せば保管してくれる
runsuru-01#dir usbflash1: 91 -rw- 4335 Apr 5 2021 06:58:56 +09:00 runsuru01.txt |
続いてコンフィグをコピーします。コマンドは下の通りです。
copy usbflash1:runsuru01.txt startup-config
startup-configは、ルータが起動するときに読み込む設定ファイルです。スタートアップという名前だから起動したときに読み込まれるファイルと覚えておけばいいと思います。
ただ、usbflashの番号が違うかもしれないので tabキーで補完しながら実行するといいと思います。
↓のように実行して、OKが出ればコピー成功です。
runsuru-01#copy us ←tabキーを押せば補完してくれる runsuru-01#copy usbflash1: runsuru-01#copy usbflash1:runsuru01.txt startup-config Destination filename [startup-config]? ←何も入力せず、そのままEnterを押す [OK] 4335 bytes copied in 1.348 secs (3216 bytes/sec) |
次にルータを再起動します。
reload コマンドで再起動します。
runsuru-01#reload
System configuration has been modified. Save? [yes/no]: no ←もしこれが表示されたら、no と入力して Enter |
USBキーメモリがない場合
手間はかかりますが、configure terminal でコンフィグモードに移行して、ひたすらダウンロードしたファイルの設定を投入していきます。
もし設定が消えていなければ、no コマンドで設定を消す必要もあります。
設定が入っているか、正しいかの確認は、特権モードでshow running-configコマンドで確認します。コンフィグモードから特権モードになるには、end で戻れます。
runsuru-01#configure terminal
runsuru-01(conf) # ← ここから設定をコピペで投入していく runsuru-01(conf-if) # no shutdown ← 不要な設定が入っていれば、no コマンドで削除する runsuru-01(conf) # end ← endを押せば、特権モードに戻る runsuru-01# show running-config ← show running-configコマンドでちゃんと設定が入っているか確認をする。 |
正しくコンフィグがロードされたか確認します。
enableで特権モードに入って、show running-configを叩きます。
enableにはpasswordが設定されているので、admin と入力してください。
ダウンロードしたコンフィグと show running-configの結果が同じであれば、成功です。
runsuru-01>enable Password: ← admin と入力して Enterを押す runsuru-01#show running-config |
最後に
設定お疲れ様でした。自分の手で触って設定すれば、物凄い力になると思います。次回はLANケーブルをつないで設定が正しいか確認していきます。