別のネットワークアドレスを通信させるにはルータが必要 サブネットマスクを理解する 基礎からのネットワーク⑦
今回は、実機を使ってサブネットマスクの理解を深めていきたいと思います。実機の画面を見た方がイメージが湧きますからね。もしパソコンがある方は実際に試してみるとよく覚えられると思います。
前回のおさらいをすると、サブネットマスクは、ネットワークアドレスとホストアドレスを区別するために使います。サブネットマスクの数値によってネットワークアドレスが何かということがわかります。
では、実機を使って①同じネットワークアドレスにいるパソコンと②別のネットワークアドレスにいるパソコンと通信させて見ます。
結論からすると②別のネットワークアドレスのパソコンは通信することができません。タイトルにある通りルータが必要になってきます。
それでは順を追って見ていきましょう。
①同じネットワークアドレスの通信の場合
テストする環境の説明
同じネットワークアドレスで通信させるように設定します。
パソコン2台を使って直接UTPケーブルでつなげます。
IPアドレスとサブネットマスクは、下の絵の通りです。
パソコン②のMac Book Airは、LANのポートがありません。ですので、USB-LAN変換ケーブルを利用します。パソコンのUSBポートにこの変換ケーブルを挿せば、LANのポートが出来上がります。
USB-LAN変換ケーブル
パソコン同士を結ぶケーブルは、UTPケーブルを利用します。一般的にはLANケーブルと言ったりします。
UTPケーブル
ネットワークアドレスのおさらい
パソコン①とパソコン②のネットワークアドレスは、192.168.0.0です。サブネットマスクの数字を10進数から2進数に変換をして1の範囲がネットワークアドレスです。255.255.255.0の場合、192.168.0までが範囲ですね。
パソコン①WindowsのIPアドレスの設定
コントロールパネル > ネットワークとインターネット > ネットワークの状態とタスクの表示をクリック
左にある「アダプターの設定の変更」をクリックします。
下記画像のように①識別されていないネットワークを選択して右クリックをして、②プロパティをクリックします。
インターネットプロトコルバージョン4 (TCP/IPv4)を選択してプロパティをクリックします。
IPアドレス 192.168.0.1 サブネットマスク 255.255.255.0に設定してOKをクリックします。
設定されたIPアドレスを確認する
コマンドプロンプトから見ることができます。ちゃんと設定されたか確認することは結構大切です。設定が間違っていたりする場合もありますからね。
デスクトップ画面を右クリックしてコマンドプロンプトをクリックします。
「ipconfig」と入力して[Enter]キーを押します。
うまく設定されていれば、下の画像のようになります。
パソコン②MacのIPアドレスの設定
システム環境設定 > ネットワークの順番に開きます。
①<・・・>となっているLANポートのアダプタを選択
②IPv4の設定を手入力に変更してIPアドレス 192.168.0.2 サブネットマスク 255.255.255.0
③適用をクリック
設定されたIPアドレスを確認する
最初からインストールされているターミナルを使います。
ifconfigと入力して実行をします。
結構たくさん表示されますが、inet 192.168.0.2が見つかれば、うまく設定されています。ちなみにサブネットマスクは、netmaskです。16進数で表示されています。0xffffff00は、10進数にすると255.255.255.0です。
通信の確認をする
ルータからパソコンにpingをしてみます。pingは、IPの通信がうまくいくか試験するときに利用します。
「ping 相手のIPアドレス」と入力します。
パソコン①Windowsのコマンドプロンプトから確認して見ます。
ping 192.168.0.2 と入力して[Enter}を押します。※192.168.0.2=パソコン②
192.168.0.2からの応答:となると成功です。
パソコン②Macからも確認します。最初からインストールされているターミナルを使います。
ping 192.168.0.1 と入力して[Enter}を押します。※192.168.0.1=パソコン①
64 bytes from …. となれば成功です。止める時は、[control]を押しながら、[C]を押します。
OKですね。
②別のサブネットマスクの通信
テストする環境の説明
冒頭でお伝えした通り、ネットワークアドレスが違うと通信ができなくなります。それを実際に見てみます。
パソコン2のIPアドレスを192.168.100.2に変更します。ネットワークアドレスは、192.168.100.0になります。サブネットマスクは、255.255.255.0なので192.168.100までがネットワークアドレスになります。
パソコン1のネットワークアドレスは、設定を変えていないので192.168.0.0です。
パソコン②MacのIPアドレスを変更します。
通信の確認をする
パソコン①Windowsのコマンドプロンプトから確認して見ます。
ping 192.168.100.2 と入力して[Enter}を押します。※192.168.0.2=パソコン②
ping: 転送に失敗しました。一般エラーです:となっています。通信が失敗しています。
パソコン②Macからも確認します。最初からインストールされているターミナルを使います。
ping 192.168.0.1 と入力して[Enter}を押します。※192.168.0.1=パソコン①
Request timeout .. となっています。これはパソコン①と通信できていません。
別のネットワークアドレス同士の通信はルータが必要
このように間にルータを挟んであげる必要があります。ルータは別のネットワークアドレスの間に入って通信を実現させてくれます。
実際に試してみる
では、実際にルータを使って見てみます。
ルータは、Cisco892Jという小型のルータです。ルータの具体的な設定は、別の機会にお伝えするとして、今回はどういう設定をしたのか書いていきます。
ルータの設定は、それぞれのパソコンと同じネットワークアドレスにします。同じネットワークアドレスであれば、パソコンとルータは通信することができます。
パソコン①側には、192.168.0.100としています。サブネットマスクも同じなのでパソコン①と同じネットワークアドレスです。(192.168.0.0)
パソコン②側には、192.168.100.100としています。こちらも同じネットワークアドレスです。
パソコン①と②の設定は、デフォルトゲートウェイです。このデフォルトゲートウエイは、ルータのIPアドレスにします。
デフォルトゲートウェイは、「通信したい相手のネットワークアドレス(ルート)がわからなければ、ルータに投げておけ」です。
パソコン①からすると、パソコン②のネットワークアドレス192.168.100.0はわかりません。違うネットワークアドレスですからね。反対にパソコン②も①のネットワークアドレスがわからない。
そのため、デフォルトゲートウェイを設定して別のネットワークアドレス宛の通信は、ルータに任せるのです。
パソコン①WindowsのIPアドレスの設定
デフォルトゲートウェイをルータのIPアドレス 192.168.0.100にします。
ipconfigで確認をします。
デフォルトゲートウェイが192.168.0.100になっていることを確認します。
パソコン②MacのIPアドレスの設定
デフォルトゲートウェイは、ルーターのところです。
ルータのIPアドレス 192.168.100.100と入力します。
ターミナルから 「netstat -rn | more」確認します
default 192.168.100.100になっていれば、成功です。
通信の確認をする
パソコン①からpingをします。
コマンドプロンプトからping 192.168.100.2 を実行します。
192.168.100.2からの応答となっているので、パソコン②まで届いています。
パソコン②Macから確認します。
ターミナルから ping 192.168.0.1 とします。
64 bytes from 192.168.0.1 となっているので、パソコン①まで届いています。
まとめ
今回は、サブネットマスクの理解を深めるために実機を使って試してみました。サブネットマスクは、ネットワークアドレスとホストアドレスを区別するために使います。
同じネットワークアドレス同士の場合、ルータがなくても通信ができます。192.168.0.1と192.168.0.2は、サブネットマスクが255.255.255.0なので同じネットワークアドレスです。192.168.0.0です。
異なるネットワークアドレス同士を通信させる場合は、ルータが必要になります。
ルータは、ゲートウェイ(出入り口)となるようにパソコンと同じネットワークアドレスのIPアドレスを設定します。今回のケースでは、パソコン①が192.168.0.1だったので、192.168.0.100とします。パソコン①と同じネットワークアドレスです。パソコン②側も同じように同じネットワークアドレスの192.168.100.100とします。
パソコン側は、デフォルトゲートウェイをルータのIPアドレスにします。デフォルトゲートウェイは、通信したい相手のネットワークアドレス(ルート)がわからなければ、ルータに投げておけ」です。パソコン①からするとパソコン②のデフォルトゲートウェイはわからないですからね。これで通信ができます。
今回は、ルータの設定は省略しましたが、ネットワークエンジニアは、このルータの設計や設定をしていくことになります。
ちなみに今回のルータと設定内容は、下の画像になります。ルータのIPアドレスが設定されていることがわかります。
設定内容