①サブネット化 のメリットの理解
IPv4アドレスの勉強を進めていくと、サブネット化の理解をすることになります。教科書通りに進めていけばサブネット化のやり方などは学べるでしょう。しかし、なぜサブネット化しなければならないのか、実際の業務の立場で述べている教科書はありません。
そこで今回は、ネットワークエンジニアとして10年以上、設計をしてきた私がその理由を述べていきます。
なぜサブネット化が必要なのか、理解していていただけると幸いです。
なぜ、わざわざサブネット化するのか?
それは、ネットワークをサブネット化しないと余計な通信が発生してしまうからです。
10.0.0.0/8 を使ってIPアドレスを割り当てる場合で考えてみましょう。
クラスAである10.0.0.0/8がホストに割り当てられるIPアドレスの数は、16,777,214(224-2)となります。224は、2x2x2x2x2x2x2x2x2x2x2x2x2x2x2x2x2x2x2x2x2x2x2x2 (2を24回掛け算する)ですね。/8というのは、最初の8ビットがネットワーク部で残りの24ビットがホスト部ということです。サブネットマスクでいうと255.0.0.0です。
10.0.0.0はプライベートIPアドレスです。プライベートIPアドレスは、社内など閉じたネットワークで使用することができます。ほとんどの企業では社内のネットワークではプライベートIPアドレスを利用しています。
10.0.0.0/8を社内のネットワークで4つの部門、営業部、総務部、人事部、技術部で使用するとします。
これが、10.0.0.0/8しかない場合、どの部門も全部同じネットワークになってしまいます。同じネットワークでもいいと思いますよね?
でも色々と問題があるんです。
サブネット化しない場合の問題点
最初に述べた通り、ホストの台数が増えることによって同じネットワークだと余計な通信が発生します。
余計な通信とはブロードキャストです。ブロードキャストは、同じネットワークに対して出す通信です。ブロードキャストの一例として、こんなのがあります。このIPアドレス誰ですかー?なんて通信が流れてきた場合、全部のホストに届きます。そして、自分じゃなかったらホストはその通信を捨てます。この捨てるという余計な動作をホストはするのです。ちなみにこれをARPといいます。
つまり同じネットワークにホストがたくさんいれば、こう言った通信は多くなりますし、余計な動作も多くなるのです。
この絵で見ると、オレンジ色のノートPC(ホスト)以外はみんな関係ないんです。関係ないノートPCはブロードキャストを捨てるという動作をします。あたしのために。
ちなみにこの同じネットワークにいる状態をブロードキャストドメインと呼びます。この言葉は結構重要で押さえるべきポイントです。
あとは、セキュリティの問題。例えば人事部が持っている社員の評価が書いてあるデータを他の部門の人にアクセスさせたくない場合。同じネットワークにいるとセキュリティを高めることがすごく難しくなります。
では、これらの問題をなくすためにはどうしたらいいでしょう?
サブネット化とは
それは、ネットワークを小さくするのです。このことをサブネット化と呼びます。ネットワークを小さくするって何?
まず、同じネットワークにいる絵を見てみます。10.0.0.0/8の中にすべての部門がいます。
次にサブネット化した絵を見てみます。
赤い装置の下にそれぞれ4つの部門が分かれました。/8ではなく/10ににしています。
そうです。サブネット化は、ホスト部のビットを借りて拡張します。上の絵ではホスト部の2ビットを借りています。この2ビットをサブネット部と言います。元々のネットワーク部の8ビットと拡張したサブネット部の2ビットの合計10ビットでネットワークを作ることができるようになるのです。
ネットワーク部(8ビット) + サブネット部(2ビット)
/10以外にもIPアドレスの第2オクテットが64だったり、128だったりなってますよね。
これら詳しい計算方法は、次回にしますね。
今回覚えていただきたいのは
サブネット化のメリットです。ネットワークを小さく分ければ、
- 余計なブロードキャストを処理しなくなる
- 同じネットワークにいるホストが少なくなれば、ブロードキャストが減る。ネットワークのパフォーマンスが良くなる
- セキュリティの適用が簡単になる。
- サブネット化でブロードキャストドメインを分割することができる。ブロードキャストドメインを分割すると、障害を局所化できる(少し難しいですね。機会があったら説明します)
というようなメリットがあります。
では、次回は、サブネット化の詳細をお話しします!
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