ルーティング-ダイナミックルーティング②
次回に引き続き、ダイナミックルーティングのお話をします。
Contents
IGPのルーティングアルゴリズム
ルーティングアルゴリズムは、経路を学習する動作のことです。IGPにはアルゴリズムが2種類あります。それぞれのルーティングプロトコルは、以下のように当てはまります。
- ディスタンスベクター
- RIP、IGRP
- リンクステート
- OSPF、IS-IS
さてさて、ワケわかめな単語がたくさん出てきましたね、順番に見ていきましょう。
ディスタンスベクター
英語にすると、Distance Vector。直訳で距離(Distance)と方向(Vector)です。距離は、ホップ数です。つまりどれくらいルータを通ったか。1台ホップしたか、2台ホップしたか、です。方向は、どのネクストホップを通るかということです。
絵で見てみます。
ルータAが172.16.0.0/16に到達するには、2つ経路があります。1つは、上のライン。1台のルータを通過するだけです。つまり1ホップ。下のラインは、2ホップになります。
その場合、ルータAは、ホップ数が少ない上のラインを最適な経路として選択することになります。
これがディスタンスベクターです。
リンクステート
リンクステートは、リンクの状態(ステート)を交換してどの経路が最適か決めます。SPFというアルゴリズムを使って最適経路を選択します。これをダイクストラアルゴリズムと言います。
絵で見てみましょう。
ルータAが172.16.0.0/16に到達するには、2つ経路があります。上のルータを通る場合と下のルータが通る場合です。
それぞれのルータは、リンクの状態をルーティングプロトコルを使って交換しています。上のルータを通ったほうが下のルータを通るよりも帯域が大きいことがわかります。上は、1000Mbps のリンクが2つですが、下は、100Mbpsのリンクが2つです。
クラスフルルーティングとクラスレスルーティング
これは、経路情報を交換する際にサブネットマスクを含めるか含めないかとということです。ルーティングプロトコルによって異なります。
内訳は以下のようになります。
- クラスフルルーティング
- サブネットマスクを含まない:RIPv1、IGRP
- クラスレスルーティング
- サブネットマスクを含める:RIPv2、EIGRP、OSPF、IS-IS
サブネットマスクを含まないクラスフルルーティングについて
クラスフルルーティングでは、経路情報を交換する時にサブネットマスクの情報を含みません。
これも絵で見てみましょう。
まずは、比較としてクラスレスルーティングから。
【クラスレスルーティング サブネットの情報を含める】
ルータAは、自分が持つ192.168.0.128/25の経路をルータBに伝えます。この時、サブネットマスクの情報が含まれているので、ルータBは、そのままサブネット情報を含んでルーティングテーブルに書き込みます。
続いて、クラスフルルーティングの場合です。くどくど申し訳ないのですが、経路交換する時にサブネットマスクの情報を含みません。でもルーティングテーブルに書き込むときは、サブネットの情報を含めてあげる必要があります。どうするかというと、経路情報を受け取ったルータがサブネットマスクを入れるのです。その時の動作が二つあります。
- ①受信したインタフェースと同じクラスフルアドレスの場合
- 受信したインタフェースのサブネットマスクにする
- ②受信したインタフェースと異なるクラスフルアドレスの場合
- ナチュナルマスクにする。クラスAだったら/8、クラスBだったら/16、クラスCだったら/24
では、絵を使ってみてみましょう。
【受信したインタフェースと同じクラスフルアドレスの場合】
ルータAは、自分が持っている経路、192.168.0.128をサブネットマスクを含めないでルータBに伝えます。
受け取ったルータBは、同じクラスフルアドレスです。(192.168.0.128と192.168.0.0は、同じ192.168.0.0/24)
自身のインタフェースのサブネットマスクの情報を付加してルーティングテーブルに書き込みます。
続いて異なる場合をみてみましょう。
【受信したインタフェースと異なるクラスフルアドレスの場合】
ルータAは、自分が持っている経路、10.0.0.0をサブネットマスクを含めないでルータBに伝えます。
受け取ったルータBは、自身のインタフェースが192.168.0.100/25なので10.0.0.0とは別のクラスの経路です。
その場合、ルータBは、クラスAのナチュラルマスクである/8を付加してルーテイングテーブルに書き込みます。
まとめ
ちょっと長いですが、今回覚えておくことのまとめです。
■ディスタンスベクターとリンクステートのルーテイング
- ディスタンスベクター
- RIP、IGRP
- リンクステート
- OSPF、IS-IS
■クラスフルルーティングとクラスレスルーティングの違い。サブネットマスクを含めるかどうか。
- クラスフルルーティング
- サブネットマスクを含まない:RIPv1、IGRP
- クラスレスルーティング
- サブネットマスクを含める:RIPv2、EIGRP、OSPF、IS-IS
■クラスフルルーティング 経路を受信したときの違い。
- ①受信したインタフェースと同じクラスフルアドレスの場合
- 受信したインタフェースのサブネットマスクにする
- ②受信したインタフェースと異なるクラスフルアドレスの場合
- ナチュナルマスクにする。クラスAだったら/8、クラスBだったら/16、クラスCだったら/24
今回は盛りだくさんでしたね。
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